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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
線上閱讀板倉 勝宣《山と雪の日記(やまとゆきのにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,279 字 · 67 頁
電灯は次へ次へ渡される。坊城の腕時計を照らしたら七時半だった。さっきもどった時から一時間滑ったわけだ。どうにかこの先から右手の沢を渡った。ああ星の夜の雪の旅。なんという静かな夢のようなありさまだ。木々の梢が雪に浮いて、その間に、星が光っている。寒さはよほど強いらしいが用意をした身体は、ぽかぽかと気持ちよく血がめぐっている。「ああ一晩ここで明かしたい」「俺もさっきからそう思っているんだ」。こんな会話が白い息を吹きながらとりかわされる。谷を登りきると目の前に卵湯のあかりが谷の向こうに見えた。目ざすところはもっと上だ。「きましたよ」と孝ちゃんが明りに輪かくを浮かせていう。雪がちらちら降ってきた。道に飛ぶと、もう温かそうな湯の宿のあかりが見えた。あだち屋の炉辺に、雪のついた靴を脱いで、燃えさかる火を顔にうけた時には、なんともいわれぬいい気持ちだった。さっきのかんじきの跡は、ここの番頭が今朝歩いたんだそうだ。硫黄の匂いが鼻をつく。リュックサックからボールのような手拭を出して湯に入った。高い天井の湯に、暗いあかりがともっている。
三十一日
今日は大変な天気だ。