輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やまとゆきのにっき

山と雪の日記

板倉 勝宣

線上閱讀板倉 勝宣《山と雪の日記(やまとゆきのにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,279 字 · 67 頁

青空文庫

また見えたなと思うと五、六間してまた煙が上る。神出鬼没じつに自由なものだ。やっと三人が揃って、杉の森をぬけて谷川の上に架した釣橋をゆれながら渡ると大変な急な傾斜が頭の上を圧している。その上に雪が柔い。ひどい目に会いそうだと思いながら人夫の後ろから登って行った。案の定大変すべる。もとよりスキーをはいているから滑るつもりできたのだが、登る時に滑るのははなはだ迷惑だ。後滑りする度に見る見るエナージーが減って行くように思える。小林はあの眼鏡とあの立派に発達した足とをもってしても、なおかつ雪の上にわずかに顔を出した樹の枝にすがってあらゆる奮闘をよぎなくされた。枝は一カ所に留っているけれども、スキーは物理の法則通り下に滑る。したがって身体は一カ所でのびたり縮んだり、雪に孔をあけたり盛んな運動である。ついに勇敢なる将軍も天地の法則を破るあたわず、雪は滑るものと悟ったか「スキーをぬぐ」と悲鳴をあげた。小林のいわゆる「わっぱ」と自ら名をつけたかんじきをはき、膝まで雪にうずめながら歩きだした。小池もまた大変樹の枝を好む。枝につかまったきり別れを惜しんでいる。あるいはひざまずいて離別の涙を流し、あるいは雪の上に身体を横たえて神代の礼拝をしている。