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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
線上閱讀板倉 勝宣《山と雪の日記(やまとゆきのにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,279 字 · 67 頁
小屋の左後ろに、一本の立木を利用して屋根をふいた便所がある。蕗の葉を持って、ここに入ると、霞沢岳が小屋の背景になる。雄大な景色で、初めは工合が悪かった。朝ここへ入ると、薄い黎明の日が小屋にあたって、緑の草の上に原始的な小屋が、オレンジ色に、静まりかえって見える。障子が静けさそのもののように、窓をふさいでいる。駒鳥のなきだすのもこの時分からだ。
小屋の生活
朝の温度は驚くほど低い。毛布をはねて蚊帳から出ると、いきなり作業服をきる。ツャツは寝る時から四枚きている。鍋に米を入れて、目をこすりながら、小川に下りると、焼にはまだ雲がかかっている。米をとぐと、たちまち手がこごえ、我慢ができない。糠飯を食うのは有難くないし、みんなの顔が恐ろしい。他の奴はねぼけ眼から涙を出して、かまどを焚いている。煙は朝の光線を小屋の上に、明らかにうつし出してくる。小屋で、焚木のはねる音を聞いてた奴も、やがて起きて掃除している。やがて飯が吹き出して、実なしの汁が、ぐつぐつ煮え始めると、テーブルの上にシーツがしかれて、一同は朝の光線を浴びながらうまい飯を食い始める。食い終って、しばしば山の雲を見ながら話にふけっているが、やがて鍋や茶碗を川に投げこんで、各自勝手なことを始める。