輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

やまをおもう

山を思う

石川 欣一

線上閱讀石川 欣一《山を思う(やまをおもう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,814 字 · 157 頁

青空文庫

◇

ドイツとチェッコスロヴァキアの国境をなすリーゼンゲビルゲに行ったのも、思えば昔のことである。八月だか九月だか、よく憶えていないが、相当に寒く、山頂で雹にでくわしたことから考えると、八月ならば終りに近く、あるいは、あれも九月の今頃だったかも知れない。快晴の樅の森を登って行くと、霧がまいて来た。登ったのにリーゼンゲビルゲ(巨人山脈)中のシュネーコップフ(雪頭山)である。もう頂上も近かろうと思われる頃、横なぐりの風が霧と一緒に雹を吹きつけて来たのである。「頭」を以て呼ばれる山だけあって頂上は平な草原で、別に国境監視兵がいるとは思えなかった。

◇

この年の春、私は碌にドイツ語も出来ぬのに、たった一人で南ドイツの旅をした。ガーミッシュパルテンキルヘンでは林檎の花盛り。ツーグスピッツェの氷河はつめたく岩は黒かった。もともとこの山に登ろうとして出かけたのだが、伯林で買った登山靴に足をやられ、やとった案内者まで解雇せざるを得ず、まことに残念だったが、却ってその方がよかったかも知れない。というのは、私はパルテンキルヘンの靴屋がつくった丈夫な半靴を一足買い、山麓を歩き廻ったからである。