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たかせぶね

山椒大夫・高瀬舟他四篇

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《山椒大夫・高瀬舟他四篇(たかせぶね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,395 字 · 40 頁

青空文庫

母はあまり手ごたえのないのを物足らなく思うくらいであった。この時長女のいちは、襖の陰に立って、おばあ様の話を聞いていた。

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桂屋にかぶさって来た厄難というのはこうである。主人太郎兵衛は船乗りとは言っても、自分が船に乗るのではない。北国通いの船を持っていて、それに新七という男を乗せて、運送の業を営んでいる。大阪ではこの太郎兵衛のような男を居船頭と言っていた。居船頭の太郎兵衛が沖船頭の新七を使っているのである。

元文元年の秋、新七の船は、出羽国秋田から米を積んで出帆した。その船が不幸にも航海中に風波の難に会って、半難船の姿になって、横み荷の半分以上を流失した。新七は残った米を売って金にして、大阪へ持って帰った。

さて新七が太郎兵衛に言うには、難船をしたことは港々で知っている。残った積み荷を売ったこの金は、もう米主に返すには及ぶまい。これはあとの船をしたてる費用に当てようじゃないかと言った。

太郎兵衛はそれまで正直に営業していたのだが、営業上に大きい損失を見た直後に、現金を目の前に並べられたので、ふと良心の鏡が曇って、その金を受け取ってしまった。