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あらし
嵐
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《嵐(あらし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,007 字 · 108 頁
私は家の内を見回した。ちょうど町では米騒動以来の不思議な沈黙がしばらくあたりを支配したあとであった。市内電車従業員の罷業のうわさも伝わって来るころだ。植木坂の上を通る電車もまれだった。たまに通る電車は町の空に悲壮な音を立てて、窪い谷の下にあるような私の家の四畳半の窓まで物すごく響けて来ていた。
「家の内も、外も、嵐だ。」
と、私は自分に言った。
私が二階の部屋を太郎や次郎にあてがい、自分は階下へ降りて来て、玄関側の四畳半にすわるようになったのも、その時からであった。そのうちに、私は三郎をも今の住居のほうに迎えるようになった。私はひとりで手をもみながら、三郎をも迎えた。
「三人育てるも、四人育てるも、世話する身には同じことだ。」
と、末子を迎えた時と同じようなことを言った。それからの私は、茶の間にいる末子のよく見えるようなところで、二階の梯子段をのぼったり降りたりする太郎や次郎や三郎の足音もよく聞こえるようなところで、ずっとすわり続けてしまった。
こんな世話も子供だからできた。私は足掛け五年近くも奉公していた婆やにも、それから今のお徳にも、串談半分によくそう言って聞かせた。