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あらし

嵐

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《嵐(あらし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,007 字 · 108 頁

青空文庫

ある社で計画した今度の新しい叢書は著作者の顔触れも広く取り入れてあるもので、その中には私の先輩の名も見え、私の友だちの名も見えるが、菊版三段組み、六号活字、総振り仮名付きで、一冊三四百ぺージもあるものを思い切った安い定価で予約応募者にわかとうというのであった。私たちはその特筆大書した定価の文字を新聞紙上の広告欄にも、書籍小売店の軒先にも、市中を練り歩く広告夫の背中にまで見つけた。この思い切った宣伝が廉価出版の気勢を添えて、最初の計画ではせいぜい二三万のものだろうと言われていたのが、いよいよ蓋をあけて見るとその十倍もの意外に多数な読者がつくことになった。

思いもよらない収入のある話と私が言ったのは、この大量生産の結果で、各著作者の所得をなるべく平均にするために、一割二分の約束の印税の中から社預かりの分を差し引いても、およそ二万円あまりの金が私の手にはいるはずであった。細い筆を力に四人の子供らを養って来た私に取って、今までそんなにまとまって持ってみたこともない金である。

まだ私は受け取りもしないうちから、その金のことを考えるようになった。私たちの家では人を頼んで検印を押すだけに十日もかかった。