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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
線上閱讀小林 多喜二《工場細胞(こうじょうさいぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 頁
――彼は嘗つて覚えたことのない血の激しい流れを感じた。これからやってのけなければならない、大きな任務を考えると、彼はガタ/\と身体がふるえ出した。グイと後首筋に力を入れ、顎をひいてもとまらなかった。彼は内心あやふやな恐怖さえ感じていた。こんな時に、河田が側にいてくれたら、たゞいてだけくれても、彼は押し強くやれるのだが、と思った。
知った顔が振り返って、笑った。――しっかりやってくれ、笑顔がそう云っていた。
食堂の中はスチィムの熱気と人いきれで、ムンとむれ返っていた。油臭いナッパ服が肩と肩、顔と顔をならべ、腰をかけたり、立ったり――それが或いは腕を胸に組み、頬杖をし、演説するものをにらんでいた。彼等はそして自分たちでも知らずに、職場別に一かたまりずつ固まっていた。アナアキストの武林の仲間は、一番後に不貞腐された図太い恰好で、板壁に倚りかゝっていた。
左寄りの女工たちは、皆の視線を受けていることを意識して、ぎこちなく水たまりのように固まっていた。今迄の会社のどんな「集会」にも、女工だけは除外していた。女たちは今、その初めてのことゝ、自分たちの引き上げられた地位に興奮していた――。