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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
線上閱讀小林 多喜二《工場細胞(こうじょうさいぼう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 頁
一所にいることが出来ない。何か心の底で終始せき立てられていた。――女房たちは、夫の稼いでいる運河のある港通りへ出てきた。
日暮れまでいて、帰りに女房たちは親方へ寄った。幾らでも貸して貰いたかった。
――笑談じゃない!
受付から親方が顔を出した。
――この不景気をみてくれ。こっちが第一喰えないんだ。
そう云われても、女房たちは受付の手すりに肱をかけたきり、だまっていた。帰ることを忘れていた…………。
「H・S工場」の窓から、澱んだ運河を越して、その群れが見えた。――浜が騒がしくなった。「Y労働組合」はそれ等の間を縫って活動していた。不穏なストライキが起るのは、たゞ「きっかけ」だけあればよかった。組合はそれに備える充分の連絡と組織網を作って置かなければならなかった。
「工場代表者会議」が緊急に開かれた。それはこの場合二つの意味をもっていた。――運輸労働者が一斉に蹶起したとしても、Y市の「工場労働者」がその闘争の外に立つことは、他の何処の市でもそうであるように分りきっていた。それをこの「工代」の力によって、全市のストライキに迄発展させなければならなかった。