輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

パリのむすこへ

巴里のむす子へ

岡本 かの子

線上閱讀岡本 かの子《巴里のむす子へ(パリのむすこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,211 字 · 5 頁

青空文庫

辱しめも忍ばねばならなかったろう。一たい、おまえは私に似て情熱家肌の純情屋さんなのに、よくも、そこを矯め堪えて、現実に生きる歩調に性情を鍛え直そうとした。

「おかあさん、感情家だけではいけませんよ。生きるという事実の上に根を置いて、冷酷なほどに思索の歩みを進めて下さい」

お前は最近の手紙にこう書いた。私はおまえのいうことを素直に受容れる。だが、この言葉はまた、おまえ自身、頑な現実の壁に行き当って、さまざまに苦しみ抜いた果ての体験から来る自戒の言葉ではあるまいか。とすれば、おまえの血と汗の籠った言葉だ。言葉は普通でも内容には沸々と熱いものが沸いている。戒めとして永く大事にこの言葉の意味の自戒を保ち合って行こう。

私たちがおまえを巴里へ残して来たことは、おまえの父の青年画学生時代の理想を子のおまえに依って実現さすことであり、また、巴里は絵画の本場の道場だからである。しかし、無理をして勉強せよとも、是非偉くなれとも私たちは決して言わなかった。ただ分相応にその道に精進すべきは人間の職分として当然のことであるとだけは言った。だのに、おまえはその本場の巴里で新画壇の世界的な作家達と並んで今や一かどのことをやり出した。