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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

「あの、磯屋五兵衛様がお妹さまをおつれになって、お見えになりましてございます」

五

お高は、反射的に、たちあがっていた。おせい様は、入り口の障子のほうに気をとられていた。お高は、そっとおせい様のうしろへまわって、襖をあけて、つぎの間へすべり込もうとした。小碑のあとについて来た磯五が、部屋へはいってこようとしていた。お高は、つぎの間から、ふすまをしめるときに、磯五をちらと見た。磯五は、てかてか光る顔に笑みをみなぎらして、おせい様に挨拶しようとしていた。

お高は磯五のうしろに、派手な色があるのを見た。それが、磯五の妹という女に相違なかった。その磯五の妹という若い女は障子のかげに隠れるようにして、はいることをためらっていた。が、すぐ、磯五に呼びこまれて、障子の隙から出て、座敷へはいって来た。しとやかに、おせい様に向かっておじぎをした。磯五が、いった。

「たびたびお話しいたしましたが、今まで、ついかけちがって、おひき合わせもできませんでした。これが磯屋の店の黒幕、妹のお駒でございます」

そのお駒という女は、なるほど磯五の妹といった格の町家の女ふうに、堅気につくってはいるが、そして、おせい様と初の対面というので、せいぜいしとやかに構えてはいるけれど、お高は、その女に見覚えがあった。