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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

いいかけて、お高は、はっとした。「すると旦那様は、おせい様があわててお取り立てをおはじめなすったうらに、磯五がおりますことを、もうご存じでいらっしゃいましょうね」

「迂濶なようじゃが」若松屋惣七は、無表情な顔のまま「ゆうべはじめて知った。驚いた」

が、べつにたいして驚いたふうもなく、見えない眼を小雨の庭へ向けて、身じろぎもしないのだ。連日奔走ののちの虚脱した気もちにいるに相違ない。

お高は、いざり寄った。

「わたくしは、おせい様のお手紙で、前から存じておりましてございます。できることなら、おせい様に思いとどまっていただこうと存じまして、いろいろと骨を折りましてございましたが――」

「そういうことであろうと、思っておった。わたしはお前が帰ったあと、おせい様の家へ出かけて行って、膝詰め談判をしてみた。すべてむだであった。おせい様は、磯五と夫婦になる気でおる。女子というものは、愚なものだな。磯五に妻のあることを、わしは話してやったぞ」

「あら、わたくしのことを――?」

「いや、いや」若松屋惣七はしお辛い笑いだ。「お前という名は出さぬ」

「はい」お高は、ほっとして、