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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

はいって来たお高を見て、若松屋惣七がいった。「すこし出て、人に会うがいいのだ。この屋敷に、女というてはお前ひとりだから、女同士の細かい話もならず、それで気がふさぐのだ。ちょいちょい歌子のところへ遊びに出かけるようにするがよい」

全く、見ちがえるようにいきいきしたお高になって、帰って来ていた。このころできた、口のまわりの小さな悲しい皺が消えて、眼が、敏活にきらめいていた。繊細な蒼白い顔に、血のいろがうかんでいた。

「歌子様は、ほんとに面白い方でございます。あしたも、夕御飯におよびくださいましたが――」

「そうか。それは行かねばならぬ。ぜひ行きなさい」

若松屋惣七は、従妹とお高が親しくなりそうなのをよろこんで、珍しく上機嫌だった。

四

あくる日、歌子の家の夕飯から帰って来ると、お高は興奮を隠して考えこんでいた。眼をかがやかして、家じゅう歩きまわった。下男部屋へ顔を出して、佐吉や国平や滝蔵などと二こと三こと話し合っては、けたたましい笑い声をたてた。そこへ、若松屋惣七が自分で呼びに来て、お高を奥へつれて行った。長い廊下を惣七につづいて歩きながら、お高がいった。