輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁

青空文庫

悟りをひらいている。小判を手玉にとる名人の域にまで達しているのだ。これが、若松屋惣七の若松屋惣七たるゆえんだ。

女のことは忘れている。忘れようと骨折っている。忘れようとして骨を折らなければならないほど、忘れられないのだ。若いころのことを思うと、よくもああいろいろ馬鹿なことができたものだと思う。それでも、武士の生まれであることは、身にしみている。だから、若松屋惣七は、ひとりでいると、名前らしくない、あんな四角ばった口調になるのだ。直そう直そうと思いながら、いまだに、さよう然らばが口に出る。知らない人からみると、へんてこな町人だ。

両替渡世の看板をあげているわけでも、若松屋という暖簾が出ているわけでもない。家は、小石川の金剛寺坂だ。ちょうど安藤飛騨守の屋敷の裏手である。父の同僚の住みあらしたあとを、もうけた金で買い取ったのだ。かなり広い。木立ちも多い。が、なにぶん荒れはてた古い家である。

そんなところで、生き馬の眼を抜くような稼業をしている。しかも、本人は、奥の茶室にすわったまんまだ。手代とも用人とも、さむらいとも町人ともつかない男が、四、五人飼われている。