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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

線上閱讀高村 光雲《幕末維新懐古談(ばくまついしんかいこだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,380 字 · 7 頁

青空文庫

この先生は探幽の流れを酌んで、正しい狩野派の絵をよく描かれた人で、弟子にも厳格な親切な人でありました。娘は今度は自分から進んで稽古を励み、まだ手ほどきをしてもらってから間もないが、先の三味線の方とは違って、どうも性に合っているように思われました。親の慾目かは知れませんが、師匠のお手本によって描いたものを見ましても能くまあこんなに描けるものだと思ったこともありまして、子供の前ではいえないことだが、家内とも「今度はどうも本人に合ったようだ。今からこれ位に行けば末頼母しい」など話してまことに可愛ゆく、出来得る限りはこの娘の天性を発揮させてやろうと存じたことでありました。

しかし、師匠の寿信という人は、なかなかその道に手堅く、稽古をおろそかにしませんところから、その稽古はなかなか金銭が掛かりました。……というのは別のことではなく、絵を描く材料に金銭が掛かるのであって、まず何よりも絵具が入るのです。たとえば、金銀、群青、緑青など岩物を平常使うので、それも品を吟味して最初から上等品を用いさせました。これは稽古の際でも楽な絵具で稽古するようではいざという段になって本当の仕事が出来ないから、平生の稽古にも本式で掛からせるという師匠の教授法なのです。