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あきばしょから

平野零児随想集 らいちゃん

平野 零児

線上閱讀平野 零児《平野零児随想集 らいちゃん(あきばしょから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,838 字 · 48 頁

青空文庫

などとも語った。四十三年の生涯を、貧乏で終始した直木氏晩年の、富岡の家は、その終編であり、体当たりで描いた彼自身のカリカチュアでもある。

ギリシャのヒポクラテスの名句をもじった彼の戯語は、彼の全生涯を物語る結語のようでもある。それには自ちょうとシニカルなニヒル的精神ばかりでなく、その底には金の世の中に対する鋭い批判を私は感じとる。そのゆえにこの一語は、直木の宅趾の碑に刻まれても不当でないと思う。

今日の流行作家から見たら、おかしいような話だ。

また直木さんについて思い出すのは、私が新聞社をやめ、筆一本で独立を志した時、故浜本浩君も改造社をやめ、共に出発することにした。その時、二人は親しくして貰った直木さんに、木挽町にあった文春クラブの二階で、

「実は二人共決心はしたものの不安なんですが……」と、二、三の先輩にいったのと同じようなことの伺いを立てたら、直木さんは言下に、

「そりゃ努力次第だ」とポツリといってくれた。その後浜本君は大いに努力の甲斐あって、先づ名作『浅草の灯』以来めきめきと目覚ましい仕事をしたが、私は廻り道をしたり、怠けたりして、現状に至っている。