輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

線上閱讀松本 泰《幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,797 字 · 107 頁

青空文庫

私は無論その前に部屋へ入った事は、おくびにも出さずにカクストン氏の後に従った。

「畜生! 狐のような奴だ。既う嗅付けてしまった」先に立って入口の扉をあけたカクストン氏は吐棄てるように呟いた。主のない部屋は窓も箪笥の抽出も開放しになって、彼の所持品は悉く紛失っていた。

「君は柏君の描いた婦人の絵を、特にルグナンシェが盗んだという推理をどう説明するね」

カクストン氏は意味あり気にいった。私はそれを説明する理由を沢山持っていたが、

「さア……」と曖昧な応答をしておいた。

私はそれから間もなく、カクストン氏に別れて、グレー街へ帰った。その街はいつものように寂しく睡っていた。どこの家も老人計りの棲家のように、窓に厚いカーテンを下している。敷石の上を照すのは、街灯の光だけである。

ガスケル家の前には、見馴れぬ貨物自動車が一台並んでいた。

「何だろう!」私は急に歩調を早めた。

貨物自動車には箱詰になった荷物や、トランクが満載してあった。もう一台の方には二人の男が暗闇の中で、黙々と荷物を積込んでいた。私は石段を馳上ってゆくと、玄関先に立っていた婆さんが、

「旦那様がこのお手紙を貴郎に遺していらっしゃいました。