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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《幻術天魔太郎(げんじゅつてんまたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,616 字 · 90 頁
丹沢山の奥の奥の、けずり立った岩にかこまれた盆地で、飛ぶ鳥か猿やウサギのほかにはくるものもないところだ」
ふたりの兄妹は、心外道人にみちびかれて、奥のひと間にすわりました。戸棚をあけると、寝具も座布団もあり、かけいの水は庭におちて、水晶のごとく冷たくきよく、それをくんできさえすれば、すぐお茶もわかせ、ご飯もたけるのです。
「道人さま、こんなところに住んでいては、なにかとご不自由じゃありませんか」
太郎がふしぎがると、
「いやいや、私にはとてもよい友だちがあるのだよ、引合せてやろう」
道人はそういいながら、ある調子で四ツ五ツ手をたたくと、キ、キ、キといような鳴声がして、どこからあらわれたか二匹の大猿、もんどりうつように縁がわに降りて、きちんと膝をならべて、道人におじぎをするのです。
「次郎坊におてくか、ここにいるのは天魔太郎に月子という兄妹だ。これからいっしょに住むことになったから、よくいうことをきいて、大事にしてあげるのだよ」
「キ、キ、キ、キ」二匹の夫婦ざるは、奇声をはっしながら、人間のようにおじぎするのでした。
「この猿は、私が七年もかかってしこんだものだ。