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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《幻術天魔太郎(げんじゅつてんまたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,616 字 · 90 頁
このいきさつを、こまごまと天魔太郎に説明されて、月子もお千代も、虎吉も熊五郎もようやくなっとくしました。
「なるほど、そうきけばもっともしごくだ。また火焔車でもけしかけましょうか」
虎吉も、もう太くもない腕などをさすっております。
「いや、こんどは別の術だ。おもしろいぞ、虎吉」
天魔太郎は胸中なにを秘めたか、まんまんたる自信です。
大久保彦左ヱ門は、その夜机にむかって、思いでの戦記を書いておりました。白髪の小さいマゲ、大きいベッコウの老眼鏡をかけて、五十年もの昔のことを思いだし思いだし、自分のことはともかく、徳川家のこと、いまはなき戦友たちのことを、せっせとつづっているのでした。
彦左ヱ門は、がんこ一徹な武人でしたが、思いのほかに文筆にすぐれ、「三河物語」という本は、彦左ヱ門が書いたのだという説もあります。
彦左ヱ門は筆をやすめて、ポンポンと手をたたきました。
この屋敷には、腰元も女もいるはずはなく、おなじ老用人の笹屋喜内をよんで、熱い茶を一ぱいもらおうと思ったのです。
まもなくうしろの唐紙がスーッと開いて、まだ注文しないお茶をもってきて、
「召しあがりませ」