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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《幻談・観画談 他三篇(げんだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,544 字 · 161 頁
小潮の時なら知らんこと、いい潮に出ているのに、二日ともちっとも釣れないというのは、客はそれほどに思わないにしたところで、船頭に取っては面白くない。それも御客が、釣も出来ていれば人間も出来ている人で、ブツリとも言わないでいてくれるのでかえって気がすくみます。どうも仕様がない。が、どうしても今日は土産を持たせて帰そうと思うものですから、さあいろいろな潮行きと場処とを考えて、あれもやり、これもやったけれども、どうしても釣れない。それがまた釣れるべきはずの、月のない大潮の日。どうしても釣れないから、吉もとうとうへたばって終って、
「やあ旦那、どうも二日とも投げられちゃって申訳がございませんなア」と言う。客は笑って、
「なアにお前、申訳がございませんなんて、そんな野暮かたぎのことを言うはずの商売じゃねえじゃねえか。ハハハ。いいやな。もう帰るより仕方がねえ、そろそろ行こうじゃないか。」
「ヘイ、もう一ヶ処やって見て、そうして帰りましょう。」
「もう一ヶ処たって、もうそろそろ真づみになって来るじゃねえか。」
真づみというのは、朝のを朝まづみ、晩のを夕まづみと申します。