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げんだん

幻談・観画談 他三篇

幸田 露伴

線上閱讀幸田 露伴《幻談・観画談 他三篇(げんだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,544 字 · 161 頁

青空文庫

もうここを上りさえすれば好いのです。細い路ですからね、わたくしも路でないところへ踏込むかも知れませんが、転びさえしなければ草や樹で擦りむく位ですから驚くことはありません。ころんではいけませんよ、そろそろ歩いてあげますからね。

ハハイ、有り難う。

ト全く顫え声だ。どうしてなかなか足が前へ出るものではない。

こうなると人間に眼のあったのは全く余り有り難くありませんね、盲目の方がよほど重宝です、アッハハハハ。わたくしも大分小さな樹の枝で擦剥き疵をこしらえましたよ。アッハハハハ。

ト蔵海め、さすがに仏の飯で三度の埒を明けて来た奴だけに大禅師らしいことをいったが、晩成先生はただもうビクビクワナワナで、批評の余地などは、よほど喉元過ぎて怖いことが糞になった時分まではあり得はしなかった。

路は一トしきり大に急になりかつまた窄くなったので、胸を突くような感じがして、晩成先生は遂に左の手こそは傘をつかまえているが、右の手は痛むのも汚れるのも厭ってなどいられないから、一歩一歩に地面を探るようにして、まるで四足獣が三足で歩くような体になって歩いた。随分長い時間を歩いたような気がしたが、苦労には時間を長く感じるものだから実際はさほどでもなかったろう。