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げんだん

幻談・観画談 他三篇

幸田 露伴

線上閱讀幸田 露伴《幻談・観画談 他三篇(げんだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,544 字 · 161 頁

青空文庫

永正四年六月二十三日だ。政元はそのような事を被官どもが企てているとも知ろうようはない。今日も例の通り厳冷な顔をして魔法修行の日課を如法に果そうとするほかに何の念もない。しかし戦乱の世である。河内の高屋に叛いているものがあるので、それに対して摂州衆、大和衆、それから前に与一に徒党したが降参したので免してやった赤沢宗益の弟福王寺喜島源左衛門和田源四郎を差向けてある。また丹波の謀叛対治のために赤沢宗益を指向けてある。それらの者はこの六月の末という暑気に重い甲冑を着て、矢叫、太刀音、陣鐘、太鼓の修羅の衢に汗を流し血を流して、追いつ返しつしているのであった。政元はそれらの上に念を馳せるでもない、ただもう行法が楽しいのである。碁を打つ者は五目勝った十目勝ったというその時の心持を楽んで勝とうと思って打つには相違ないが、彼一石我一石を下すその一石一石の間を楽む、イヤそのただ一石を下すその一石を下すのが楽しいのである。鷹を放つ者は鶴を獲たり鴻を獲たりして喜ぼうと思って郊外に出るのであるが、実は沼沢林藪の間を徐ろに行くその一歩一歩が何ともいえず楽しく喜ばしくて、歩※(二の字点、1-2-22)に喜びを味わっているのである。