輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ようねんじだい

幼年時代・晩夏

堀 辰雄

線上閱讀堀 辰雄《幼年時代・晩夏(ようねんじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,965 字 · 169 頁

青空文庫

――

実は父の百カ日のすんだ折、寺でそのおばからちょっとお前の耳にだけ入れておきたいことがあるから、そのうちひとりのときに寄っておくれな、といわれていた。

まだ逗子に蟄居していた時分で、それに何かと病気がちの折だったので、私はおばにいわれていた事がときどき気になりながらも、なかなかひとりで東京に出て往けなかった。が、そのうち何処からか、去年の暮れごろから目を患っていたおじさんが急に失明しかけているというような噂を耳にして、私はこれは早く往ってあげなければと思い、或日丁度自分の実家に用事があって往くことになっていた妻と連れだって東京に出て、私だけ手みやげを持って、震災後ずっと田端の坂の下の小家におじとおばと二人きりで佗住いをしている方へまわった。それはもう六月になっていた。

おじさんのうちでは、もうすっかり障子があけ放してあって、八つ手などがほんの申訣けのように植わっている三坪ばかりの小庭には、縁先きから雪の下がいちめんに生い拡がって、それがものの見事に咲いていた。

「雪の下がきれいに咲いたものですね、こんなのもめずらしい。……」私はその縁先きちかくに坐りながら、気やすげにそう言ってしまってから思わずはっとした。