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かれ

彼

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《彼(かれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,980 字 · 11 頁

青空文庫

彼はその恐怖を利用し、度たび僕を論難した。ヴェルレエン、ラムボオ、ヴオドレエル、――それ等の詩人は当時の僕には偶像以上の偶像だった。が、彼にはハッシッシュや鴉片の製造者にほかならなかった。

僕等の議論は今になって見ると、ほとんど議論にはならないものだった。しかし僕等は本気になって互に反駁を加え合っていた。ただ僕等の友だちの一人、――Kと云う医科の生徒だけはいつも僕等を冷評していた。

「そんな議論にむきになっているよりも僕と一しょに洲崎へでも来いよ。」

Kは僕等を見比べながら、にやにや笑ってこう言ったりした。僕は勿論内心では洲崎へでも何でも行きたかった。けれども彼は超然と(それは実際「超然」と云うほかには形容の出来ない態度だった。)ゴルデン・バットを銜えたまま、Kの言葉に取り合わなかった。のみならず時々は先手を打ってKの鋒先を挫きなどした。

「革命とはつまり社会的なメンスツラチオンと云うことだね。……」

彼は翌年の七月には岡山の六高へ入学した。それからかれこれ半年ばかりは最も彼には幸福だったのであろう。彼は絶えず手紙を書いては彼の近状を報告してよこした。