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りつことさだこ

律子と貞子

太宰 治

線上閱讀太宰 治《律子と貞子(りつことさだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,325 字 · 11 頁

青空文庫

姉は二十二、妹は十九。ともに甲府の女学校を卒業している。下吉田町の娘さん達は、たいてい谷村か大月の女学校へはいる。地理的に近いからだ。甲府は遠いので通学には困難である。けれども、町の所謂ものもちは、そのお嬢さん達を甲府市の女学校にいれたがる。理由のない見識であるが、すこしでも大きい学校に子供をいれるという事は、所謂ものもちにとっては、一つの義務にさえなっているようである。姉も妹も、甲府女学校に在学中は、甲府市の大きい酒屋に寄宿して、そこから毎日、学校に通った。その酒屋さんと、姉妹の家とは、遠縁である。血のつながりは無い。すなわち三浦酒造店である。三浦君の生家である。

三浦君にも妹がひとりある。きょうだいは、それだけである。その妹さんは、二十。下吉田の姉妹と似た年である。だから三人姉妹のように親しかった。三人とも、三浦君を「兄ちゃん」と呼んでいた。まず、今までは、そんな間柄なのだ。

三浦君は、ことしの十二月、大学を卒業して、すぐに故郷へ帰り徴兵検査を受けたが、極度の近視眼のために、不覚にも丙種であった。すると、下吉田の妹娘から、なぐさめの手紙が来た。