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のちのなりひらぶんじ

後の業平文治

三遊亭 円朝

線上閱讀三遊亭 円朝《後の業平文治(のちのなりひらぶんじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,545 字 · 216 頁

青空文庫

者は一人(いちにん)もござりませぬ、皆文治様々々々と敬(うやも)うて居ります、これにて文治の人となりを御推察を願います」

右「して、そちの母の命の恩人と申すは」

喜「左様でござります、手前が浪人中、別に一文の貯(たくわ)えあるでは無し、朝から晩まで内職をして其の日/\の煙を立てゝ居りました、それが為に手前は始終不在勝でございまして、家内の事は一切女房に任せて置きましたのが手前の生涯の過失(あやまち)でございます、女房のお淺と申します者が、手前の居ります時はちやほや母に世辞をつかいます故、左程邪慳(じゃけん)な女とも思いませなんだが、不在を幸いに只(たっ)た一人(いちにん)の老母に少しも食事を与えませず、ついには母を乾殺(ほしころ)そうという悪心を起して、三日半程湯茶さえ与えず、母を苦しめました」

右「フーム、世には恐ろしい奴もあるものじゃの、そちは何か、内職から帰ってそれを知らなかったのか」

喜「何(なん)とも恐入った次第でございますが、母は当年七十四歳、手前などと違い余程覚悟の宜(よ)い母でございまして、食を絶って死のうという覚悟と見えまして、只病気とのみ申し打臥(うちふ)した