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おたか

御鷹

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《御鷹(おたか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,767 字 · 18 頁

青空文庫

『……見ませぬ』

『見なければ、どうしたのか』

『…………』

お悦は、眼をふさいだ。云われてみれば、それらしい物が吹雪の脚にまだ結いつけてあったような気もする……。

『何うしたんだ!』

角三郎は、声を荒らげ、嘗つて、お悦の知らない恐い眼をして罵った。

『まさか、吹雪に結いつけてあるままではあるまいな。――弁馬の手蹟など、見るもけがらわしいと思って棄てたのか』

『い、い、え……』

『出せっ、後の証拠だ』

『……気がつきませんでした。やはり、吹雪の脚かも知れません』

『あきれたな! おまえの気のきかないのも。――あれを、他人に見られたらどうするか。おまえも俺も、もの笑いだぞ、世間へ恥さらしになると思わんか、白翁が、いくら中風の身を訴えて、聟になってくれの、鳥見組頭の家が絶えるのと云っても、継いでやるわけにも行かなくなるじゃないか!』

『…………』

『――飼い馴れた吹雪のこと、明日の朝にもと思ったが、ほかの同役の手にでも捕まえられたら取返しはつかん。――どうせ、五十年の不作は覚悟の前だが、今から、世話ばかりやかす奴だっ。おまえも、一緒になって、その辺を見ろっ――樹の上を――』