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ちゅうぎ

忠義

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《忠義(ちゅうぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,171 字 · 27 頁

青空文庫

それが、翌日になると、また不吉な前兆が、加わった。――十五日には、いつも越中守自身、麻上下に着換えてから、八幡大菩薩に、神酒を備えるのが慣例になっている。ところが、その日は、小姓の手から神酒を入れた瓶子を二つ、三宝へのせたまま受取って、それを神前へ備えようとすると、どうした拍子か瓶子は二つとも倒れて、神酒が外へこぼれてしまった。その時は、さすがに一同、思わず顔色を変えたと云う事である。

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翌日、越中守は登城すると、御坊主田代祐悦が供をして、まず、大広間へ通った。が、やがて、大便を催したので、今度は御坊主黒木閑斎をつれて、湯呑み所際の厠へはいって、用を足した。さて、厠を出て、うすぐらい手水所で手を洗っていると突然後から、誰とも知れず、声をかけて、斬りつけたものがある。驚いて、振り返ると、その拍子にまた二の太刀が、すかさず眉間へ閃いた。そのために血が眼へはいって、越中守は、相手の顔も見定める事が出来ない。相手は、そこへつけこんで、たたみかけ、たたみかけ、幾太刀となく浴せかけた。そうして、越中守がよろめきながら、とうとう、四の間の縁に仆れてしまうと、脇差をそこへ捨てたなり、慌ててどこか見えなくなってしまった。