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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

線上閱讀小泉 節子《思い出の記(おもいでのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,841 字 · 62 頁

青空文庫

『あの話、あなた書きましたか』と以前話しました話の事を尋ねました時に『あの話、兄弟ありません。もう少し時待ってです。よき兄弟参りましょう。私の引出しに七年でさえも、よき物参りました』などと申していましたが、一つの事を書きますにも、長い間かかった物も、あるようでございました。

『骨董』のうちの「或女の日記」の主人は、ただヘルンと私が知って居るだけでございます。二人で秘密を守ると約束しました。それから、この人の墓に花や香を持って、二人で参詣致しました。

『天の河』の話でも、ヘルンは泣きました。私も泣いて話し、泣いて聴いて、書いたのでした。

『神国日本』では大層骨を折りました。『此書物は私を殺します』と申しました。『こんなに早く、こんな大きな書物を書く事は容易ではありません。手伝う人もなしに、これだけの事をするのは、自分ながら恐ろしい事です』などと申しました。これは大学を止めてからの仕事でした。ヘルンは大学を止められたのを非常に不快に思っていました。非常に冷遇されたと思っていました。普通の人に何でもない事でも、ヘルンは深く思い込む人ですから、感じたのでございます。