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おんがくどけい
性に眼覚める頃
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《性に眼覚める頃(おんがくどけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,495 字 · 22 頁
それゆえ、わたしは三度藍碧の服をつけた彼女を明るい午後の、うすぼんやりした光で見いだしたとき、なぜか一種の悲哀をさえ感じた。それはあれらの曲馬団という概念にたいする悲哀でなく、何となく左ういう女の生活しているといういみじい或る概念に対してであった。わたしだち見物人と直接関わりのあるようで、それでいて全然別途な生活であるということが、そういう生活に指さきをも触れることのできないというもどかしい物悲しさであった。世にこれを恋というものの内容に追い入れようとするものがあれば、わたしは容易にうなずくに違いないと思われた。なぜだといえば、あまりにばかばかしくしかも余りに屡々わたしは同一人の芸風に足をはこんでいるからである。
も一つは私の空想であるところの、睡りくせであるところの、ブランコに移乗しながらいるからだ工合が、ますます激しくはびこってきたからである。私はよく目を閉じ、暗い己れの部屋のなかで、マテニの、その滑走をゆめ見たからである。鉄棒から手を離し、次の鉄棒に飛び移るときの、気の遠くなるような、すうと空間に浮き上る気もちは、左ういうしなやかな身体をだんだんに夢を見るような心にならしてしまった。