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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

線上閱讀海野 十三《怪塔王(かいとうおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 頁

青空文庫

雲が視界を邪魔していましたが、雲の切れ目に、もしや怪塔ロケットの姿が見えはしないだろうかと思ったのです。

しかし、敵の姿は、どこにも見あたりません。そのうえに、雲はいよいよ濃く渦をまいて来て、どこを飛んでいるのかわけがわからなくなりました。暴風雨のしらせさえ感じられます。

「ざんねんだなあ。こうしていては、雲にまかれてガソリンを損するばかりだ、しかたがない、雲の外に出よう」

雲の外に出ようといっても、いつの間にか、古綿のような密雲はすっかり小浜機をつつんでしまい、どこが雲の切れ目か見当がつきません。兵曹長の心は、はやるばかりです。

死力

1

せっかく急上昇したのに、密雲に邪魔をされ、ふたたび下降しなければならなくなった小浜機は、いまぐんぐんと雲を切って下っていきます。

「あっ、五千メートルだ。四千八百メートルだ。もっといそいで下りよう」

小浜兵曹長は、さらに水平舵をひいて機首を下げましたから、機は弾丸のように下におちていきます。

「三千九百、三千七百。――まだ雲が切れない。執念ぶかい雲だなあ、まるで怪塔王の親類みたいだ」

それでも雲は、なかなか切れません。