輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かいとうおう

怪塔王

海野 十三

線上閱讀海野 十三《怪塔王(かいとうおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 頁

青空文庫

翼はいくたびか波浪にばっさりと呑まれそうです。人力ではどうすることもできない自然力の猛威です。

それでもわが小浜兵曹長は、飛びつづけました。それは二時間半というながい時間の後でありました。どこをどう飛んだか、ちっとも油断のならない二時間半の飛行に、さすがの勇士も、気力も体力もくたくたになってしまいました。いよいよ翼を波にぱくりと呑まれる時がやってきた、と思いました。

「ざんねんだ。青江のかたきをとらないうちに死ぬなんて、じつにざんねんだ」

兵曹長は、歯をくいしばり、眼をしばたたいて、眼下の真白な波浪をにらみつけました。そのときです。彼は、ふと前方に、まっくろな鯨のようなものがよこたわっているのに気がつきました。

「あっ、あれは何だ。鯨か?」

眼をしきりにぱちぱちやって、この黒影を見ていた兵曹長の頬に、さっと血の色がわきました。

「あっ、あれゃ島だ! 島だ!」

島が見つかったのです。死の一歩前に、島影が見えるなんて、何という天佑でしょう。

小浜兵曹長の元気は百倍しました。

「何としても、あの島まで辿りつかなければ――」

それから先は、夢中でありました。どこをどう飛んだのか、気のついたときは、飛行機のエンジンはぴたりととまっていました。