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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

線上閱讀海野 十三《怪塔王(かいとうおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 頁

青空文庫

このうすぐらい洞窟内は、けっして気持のよいところではありません。見えるのは岩ばかりでありましたが、なんだかそのほかに魔物でも棲んでいるように思えてなりません。その魔物は岩のかげから、黄いろい眼を光らせながら、帆村の様子をそっと隙見しているような気がします。

(なぜこう気味がわるいのだろう。僕は急に臆病者になったのかしらん?)

帆村は、岩の根に腰うちかけ、あたりをぐるぐる見まわしながら、自分の心にそんな質問をかけてみました。

耳を澄まして聞いていますと、どーんどーんという音がします。どこか海水のうちよせてくる洞穴があるらしくおもわれます。帆村は、まだそのような洞穴の在所を知りませんでした。

ばさばさばさばさ。

急に、はげしい羽ばたきが頭の上に聞えて、怪鳥がとびこんできました。

「おや」

帆村は、びっくりして立ちあがりました。こんどは怪鳥がびっくりして、またばさばさばさと羽ばたきをして、向こうへにげていきました。

怪鳥は、怪塔王が身をなげた岩の割れ目へとびこみましたが、しばらくすると、「けけけけ」と、聞くのもぞっとするような啼声をたてて、また帆村のいる方へ、とびもどってまいりました。