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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

線上閱讀小酒井 不木《怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集(みっつのあざ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,140 字 · 396 頁

青空文庫

私はもう我慢が出来なくなって医師をよぶことにすると、さすがの彼女も同意を表しました。診察に来て下さったN博士は、彼女を診察し終るなり、私を別室に呼んで、

「はじめ奥さんの右の眼は、猫のように暗やみの中で光りはしませぬでしたか?」

と、小声でたずねました。私はびっくりして答えました。

「そうです」

「あれはグリオームという病気で、網膜に出来る悪性の腫瘍なのです。子供に多いのですが、大人にもたまにあります、猫の眼のように光る時分に剔出するとよいのでしたが、今はもう手遅れです」

「手遅れと申しますと、右の眼が助からぬということですか」と私は心配してたずねました。

「いいえ、残念ながら腫瘍が脳を冒しまして、急性脳膜炎を併発しましたから、とても恢復は望めません」

私は脳天に五寸釘を打こまれたように思いました。地だんだ踏んで後悔してももはや及びませんでした。

その夜から妻は高熱のために譫語をいうようになりました。

「三毛が来た!」

「三毛が来た!」

こう叫び続けて、三日目の午後、彼女は二十七歳を一期として瞑目しました。

たとい、彼女の右眼の病気が不思議な原因でないとわかっても、私は、彼女が先妻の死霊の祟りのために死んだのだとかたく信じました。