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かいいくらやみまつり

怪異暗闇祭

江見 水蔭

線上閱讀江見 水蔭《怪異暗闇祭(かいいくらやみまつり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,923 字 · 26 頁

青空文庫

と明白には源八郎云わなかった。

「や、それは私として、初耳でございますが、私の聴きましたのは、ちっと違いますので」

「どんな話か、肴に聴きたいもんだな」

そう云いつつ、猪口代用の茶碗をさした。

三

旅商人は四辺に気を配り、声を低めて、

「実は旦那、去年には限りません、毎年この暗闇祭には、怪しい事があるんでございますよ。ですが、それをぱっとさせた日には、忽ちお祭がさびれっちまうので、土地の者は秘し隠しにして居りますがね。昨年のはちっと念入りでございましたよ。女がね、お臀の肉を斬られたんでね。なんでも十二三人もやられたらしいんで。大道臼のようなのは、随分斬り出があったろうと思います」と語り出した。

「ふむ、それは怪しからん。女の臀部を斬るとは一体何の為だか。いずれ馬鹿か、狂人の所業であろうな」と源八郎も新事実を聴いてちょっと驚いた。

「まだほかに何があったか知れませんが、それはただ私達の耳に入らねえだけのことだと思います。今夜もきっと何かあるだろうと思われますよ。何しろ諸方から大勢人が入込んで居りますから……それに、昨年は、信州のある大名のお部屋様が、本町宿の本陣旅籠にお泊りで、そこにもなんだか変な事があったそうで、それについては私は能く存じませんがね」