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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
線上閱讀佐左木 俊郎《恐怖城 他5編(きょうふじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,735 字 · 290 頁
しかし、蟇口の中には二、三十円きり入っていなかった。正勝はすぐ立ち上がって、土間の隅から焚きつけにする白樺の皮を持ってきた。
「とっつぁん! 硯箱を貸してくんなよ」
そして、正勝はテーブルの前に席をとった。
「正勝さん! おれも一つお願いがあるのでがすが……」
与三爺が低声に言いながら寄っていった。
「この夏、はあ馬を殺してしまって、なんともかんとも困ってるのでがすが、おれもできれば百円ばかり貸していただきてえもんで……」
「百円? 金はいいが、馬を買うのなら馬でやってもいいが……」
「やっぱり、金で貸していただいて……」
「それじゃ、いまここへ持ってこさせるから」
吾助爺がそこへ硯箱を持ってきた。
「爺さん? 五、六本ばかり熱くしてくれ。それから、みんなの分を何かご馳走を拵えてくれよ」
「それじゃ、鶏でも潰すべえかい?」
「鶏でいい」
正勝はそして、筆に墨を含ませた。
「正勝さん! おれのとこでもね、雑穀問屋から借金をしてるのですがね。それを今年じゅうに是が非でも返せと言うのでがすがね。雑穀問屋では雑穀で返させる算段なんですが、なにしろ今年は穀類の出来が悪いんでね。