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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
線上閱讀佐左木 俊郎《恐怖城 他5編(きょうふじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,735 字 · 290 頁
正勝は紀久子の傍へ寄りながら、目を瞠って訊いた。
「蔦が……蔦が……」
紀久子は歯の根が合わないまでに、顫えていた。
「旦那を殺したのは蔦だってこと、はっきりと分かるけれども……」
正勝はそう言いながら紀久子の手から猟銃を取って、そこの壁に立てかけた。
「蔦が、蔦が、わたしも……」
紀久子はようやくそれだけを言った。
「蔦があなたにも手向かったんですね」
紀久子は微かに頷くようにした。
「しかし、こうしていたって仕様のねえことだし、あなたが何より寒くって仕様がねえだろうから、あっちへ行って夜の明けるのを待つより仕方がねえでしょう」
正勝はそう言って紀久子の背中に手をかけ、廊下のほうへ出た。牧夫たちは土足のままで、ぞろぞろとその後に続いた。
4
牧夫たちのための食堂になっているコンクリートの土間の、片隅の壁際に石と粘土とで竈のように畳み上げられてあるストーブには、薪が幾本も幾本も投げ込まれた。そして、牧夫たちはその焚き口の前に車座になって腰を据えていた。紀久子はその中央の火に近いところへ、席を空けられた。
「婆や! 婆や!」
正勝は冷えびえしい沈黙を破った。