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きょうりゅうとう

恐竜島

海野 十三

線上閱讀海野 十三《恐竜島(きょうりゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 98,662 字 · 199 頁

青空文庫

それから玉太郎は、にわかの川について、上流の方へもどっていった。彼は、さっき落ちた崖下へもどるつもりであった。しかしどうしたわけか、そこへもどることが出来ず、川にそって上ったり下ったりしてまよった。そのうちに時間がたった。

スコールが通りぬけたらしく、急に雨が小降りになったと思うと、もう雲が切れて、もうもうと立ちのぼる水蒸気に、明るく陽の光がさしこんで来た。気温は、またぐんぐんとのぼり出した。視界がひらけた。

「おや。あんなところに崖が見える」

どこをふみまよったものか、スコールがあがってみれば玉太郎はとんでもないけんとうのところに立っていた。さっきすべりおちた崖の斜面のしたから、百五十メートルばかりもはなれたところに立っていたのだ。彼は斜面の下へむかって急いで歩いた。

歩きながら、斜面をいくども見下げた。そのとき彼は、不審の念にうたれた。「ラツールさんの姿が見えないが、どこへ行ったんだろうか。斜面をすっかりのぼって、崖の上へ出たのかしらん」

斜面にはラツール記者の姿がなかったのである。ラツールといえば、彼はスコールの中に降りこめられ、斜面のまん中あたりで、進退きわまっていたのだったが、今はどこにいるのだろうか。