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うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

線上閱讀宮島 資夫《恨なき殺人(うらみなきさつじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,611 字 · 56 頁

青空文庫

「イヤ、あの男がどうしたと言う訳ではないのですが、塩子のもので、三田という坑夫の顔を覚えていたものがあるものですから」

巡査は強いて安心させるように言った。

「仕方がない、呼んだら好いだろう」と鈴木は投げ出すように言って、外に出てしまった。

「じゃ僕が呼んで来ましょう」と言って、池田はカンテラをぶら下げて見張りを出た。彼はブラブラと三号坑の坑口に来てから、そこにいた掘子に、

「オイ、三田を呼んで来てくれ」と言いつけて、入口から四五間奥の竪坑の上に立っていた。その竪坑は、下の通洞に通じていた。それを伝って逃げれば、逃げられないこともないと考えていた。

間もなく真暗な奥の方から、カンテラの焔をチラチラさせて、三田はかがむようにしてやって来た。池田の顔をみると、

「何か御用ですか」と訊いた。

「今刑事がやって来て、塩子のことで一寸聞きたいことがあるって言うんだ。何かやったのか」と訊ねると、

「いえ、あっしは何もやらねえんだけど」と、三田はギョッとしたように言った。

「誰だかお前の顔を覚えてた奴があるって言うんだ。逃げるつもりなら、此処から逃げたら好いだろう」と、池田は眼で竪坑を知らせた。