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あくりょう

悪霊

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪霊(あくりょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 頁

青空文庫

その足下に、霊媒の龍ちゃんが長々と横わっていた。彼女は気力を使い果して、気を失ってしまったのだ。

今はもう降霊術どころではなかった。黒川先生と奥さんとは、真青になって震え戦く鞠子さんを慰めるのにかかり切りであったし、外の会員達は、黒川家の書生や女中と一緒になって、失神した龍ちゃんの介抱に努めなければならなかった。

斯様にして、九月二十七日の例会は、実にみじめな終りを告げたのだが、騒ぎが静まって、龍ちゃんは失神から恢復するし、鞠子さんも笑顔を見せる様になっても、会員達は一人も帰らなかった。帰ろうにも帰られぬ羽目になってしまったのだ。というのは「織江さん」の魂が、姉崎夫人の下手人は、そして又、鞠子さんを同じ様に殺害するという犯人は、心霊研究会の会員の中にいると明言したからだ。

黒川先生御夫婦と鞠子さんを除いた四人の会員、熊浦氏と、園田文学士と、一寸法師の槌野君と、僕とが、応接室に集って、気拙い顔を見合せていた。

「わしは、あの娘の、予言は、十中八九、適中すると、思う。あいつは、わしの家に、居る時分から、一度も出鱈目を、云ったことは、ないのだ」

熊浦氏が沈黙を破って、例のザラザラした吃声で始めた。