輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あくりょうものがたり

悪霊物語

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪霊物語(あくりょうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,207 字 · 17 頁

青空文庫

先生にわざと夜来ていただいたのです。目で見ないで、手だけで見るというのには、昼間はぐあいがわるいですからね。これは手で見るのですよ。つまり触覚の美術です」

蘭堂はいわれるままに、オズオズとそれにさわって見た。冷たいなめらかな肌であった。

「もっと手をのばして、全体をなでまわしてごらんなさい」

だんだん手をのばして行くと、それは人間のからだに似たものであることがわかった。しかし、普通の人間ではない。手が何本もある。足が何本もある。肉体の山と谷が無数にある。

はじめは薄気味がわるかった。不快でさえあった。だが、なでまわしているうちに、神経の底から妙な感じが湧き上がって来た。今まで一度も経験しなかった不思議な快感であった。そこには、想像し得るあらゆる美しい曲線が、微妙に組合わされていた。スベスベした、なだらかな運動感があった。手が自然にすべって行く、そのすべり方に、異様な快感があった。それは触覚だけでなくて運動感覚にも訴える美しさであった。

老人は暗闇の中で、息の音も立てないで、小説家の感動を感じ取ろうとしていた。蘭堂の両の手が、はじめはゆるゆると、やがて、徐々に速度を増して、ついには恐ろしい早さで、その物体の上を、這いまわった。