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わたしのちちとはは
惜しみなく愛は奪う
有島 武郎
線上閱讀有島 武郎《惜しみなく愛は奪う(わたしのちちとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,351 字 · 70 頁
私なりに永く考えた後にすることだ。ただそれをあらかじめ相談しないだけのことだ。こういう性質をもって、私の家のような家に長男に生まれた私だから、自分の志す道にも飛躍的に入れず、こう遅れたのであろうと思う。
父は長男たる私に対しては、ことに峻酷な教育をした。小さい時から父の前で膝をくずすことは許されなかった。朝は冬でも日の明け明けに起こされて、庭に出て立木打ちをやらされたり、馬に乗せられたりした。母からは学校から帰ると論語とか孝経とかを読ませられたのである。一意意味もわからず、素読するのであるが、よく母から鋭く叱られてめそめそ泣いたことを記憶している。父はしかしこれからの人間は外国人を相手にするのであるから外国語の必要があるというので、私は六つ七つの時から外国人といっしょにいて、学校も外国人の学校に入った。それがために小学校に入った時には、日本の方が遅れているので、速成の学校に通った。
小さい時には芝居そのほかの諸興行物に出入りすることはほとんどなかったと言っていいくらいで、今の普通の家庭では想像もできないほど頑固であった。男がみだりに笑ったり、口を利くものではないということが、父の教えた処世道徳の一つだった。