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あいとにんしきとのしゅっぱつ

愛と認識との出発

倉田 百三

線上閱讀倉田 百三《愛と認識との出発(あいとにんしきとのしゅっぱつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 64,420 字 · 129 頁

青空文庫

認識論より宗教に入る者の帰着点はどうしても Pantheism のほかにはないように思われる。ことに氏のごとき体系の哲学においては汎神論はほとんど論理的必然であるといってもいい。宇宙は唯一実在の唯一活動である。その活動の根底には歴々として動かすべからざる統一がある。宇宙と自己とは二種の実在ではない。純粋経験の状態においてはただちに合して一となる。すなわち宇宙の統一力はわれらの内部にあっては意識の背後に潜む統一力である。この統一力こそ神である。われらがいかにしてこの神を認識し能うかについてはすでに氏の認識論を考察するときにこれを述べたから、ここでは主として神の本質について考えてみよう。

第一に神は内在的である。すなわち神はこの世界の外に超越して、外より世界を動かす絶対者ではなく、世界の根底に内存して、内より世界を支え世界を動かす力である。氏の哲学においては現象界の外に世界はない。たとい世界の外に超然として存在する神ありとするも、それはわれらになんらの交渉もなき無も同様である。われらの生命に直接の関係を有し、われらの内部生活に実際に力強く働くことを得る神はわれらの生命の奥底において見いださなければならない。