輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《我が家の楽園(わがやのらくえん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 頁

青空文庫

を待つばかりという、このうえもない結構な運びになった。

千々子さまは、ハークネスという思いもかけぬ大きな魚をすくいあげ、そのうれしさが頭にきて、子供のころにやった脳膜炎が、ぶりかえしたかと思われるような調子のはずしかたで、ひとりで浮かれていたが、なにかものたりないのに気がついたらしく、百々子に餌箱を持たせてプールの縁にあぐらをかき、錦鯉の子供を釣ったり放したりして、ひとり淋しく遊んでいる石田氏のところへやってきて、

「ねえパパ、今日はアメリカの祝日ですから、家でもアメリカの国旗を出しましょう」

と、つまらないことを口走った。

渋谷の松濤に住んでいる、なにやら省の頓狂な高級官吏が、占領さなかの合衆国独立記念日に、門の前へアメリカの国旗を出し、目玉のとびでるほどMPに叱られたという笑止な事件があったが、千々子さまの国旗をだしたい気持は、戦勝国民におべっかをつかう敗戦国民の卑屈な精神から出たものではないことは、石田氏にも、そばにいる百々子にもすぐ通じた。

いつだったか、千々子さまがパンツひとつで姿見の前に立って、じぶんの胴やふくらっ脛をつねりながら、

「ここんとこ、どうしてこうなんだろう」