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〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)
〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)(〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,167 字 · 22 頁
私は不思議そうに出版書店の数々の書物の間に、この才華けんらんの友の名のないのを見て、ついに彼の艶歌と軍歌の反古にひとしい仕事が、彼の死後の著作出版に障碍を来していること、その名を軽んじていることを残念ながら頭に置いて、せんなきことに算えた。
私の母は目高を食べて大きくなつた
この一行の詩もいまは誰も書ける人はいない程、田舎の風景が乳のようにながれ、彼を思うとこの詩が向うからやって来るのである。
昭和十七年五月十二日、萩原朔太郎が死んでから四日目の、五月十五日に佐藤は或る外出先の女友達の家で、脳溢血の発作の後に亡くなった。
十三日の午後に佐藤は私の家に現われ、萩原の死をつたえてくれた。私は萩原家に夕刻に行ったが、佐藤は多くの女の弔問者の間をかけ※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)り、落着かない昂奮状態のまま酒ばかりあおっていた。生きのこりの濶達さと、大勢が集まっている中でも自分が死友ともっとも親しかった栄誉とから、彼のからりとした性分が手伝って面白そうな笑いのタネを彼方此方に撒いて歩いて、みんなが笑うと一層面白くなってからさわぎする。佐藤特有のここでも才華をふるまう役者であった。