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てがみ

手紙

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《手紙(てがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,390 字 · 11 頁

青空文庫

)帰り仕度をするとか云うことです。僕はK君と二人だけになった時に幾分か寛ぎを感じました。もっともK君を劬りたい気もちの反ってK君にこたえることを惧れているのに違いありません。が、とにかくK君と一しょに比較的気楽に暮らしています。現にゆうべも風呂にはいりながら、一時間もセザアル・フランクを論じていました。

僕は今僕の部屋にこの手紙を書いています。ここはもう初秋にはいっています。僕はけさ目を醒ました時、僕の部屋の障子の上に小さいY山や松林の逆さまに映っているのを見つけました。それは勿論戸の節穴からさして来る光のためだったのです。しかし僕は腹ばいになり、一本の巻煙草をふかしながら、この妙に澄み渡った、小さい初秋の風景にいつにない静かさを感じました。………

ではさようなら。東京ももう朝晩は大分凌ぎよくなっているでしょう。どうかお子さんたちにもよろしく言って下さい。

(昭和二年六月七日)