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ピッチャーさつじんじけん

投手殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《投手殺人事件(ピッチャーさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,243 字 · 57 頁

青空文庫

三百万円で身売りする球団を探しに。葉子さんは反対なさったのです。一昨日は一日云い争っていらしたようです。そして、大鹿さんに選手としての名誉を汚させるぐらいならと、社へ借金にいらしたのです。葉子さんのフビンな気持も察してあげて下さい」

「ふむ。大それたことを、ぬかしよる」

大声で叱りつけたが、神経が細くては出来ない撮影所勤め、太鼓腹をゆすって、案外平然たるものだ。しかし、頭に閃いたことがあるから、二人を部屋に残しておいて、スカウトの煙山の部屋を訪ねた。スカウトというのは、有望選手を見つけだしたり、買収して引ッこぬいたりする役目で、ここに人材がいないとチーム強化ができない。煙山は日本名題の名スカウトであった。

細巻は煙山の部屋へとびこんで、

「オイ、ちょッとした話があるんだが」

「なんだい」

「実はこれこれだ」

と、テンマツを語ってきかせる。

「フーム。ちょッとした話どころじゃないじゃないか。大鹿は灰村カントクの子飼いだから、動かないものだと、各球団で諦めていた男だ。しかし、三百万円は高いな。そんな高額は各球団に前例がないと思うが、しかし、三百万の値打はある。