輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぬきうちししべえ

抜打ち獅子兵衛

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《抜打ち獅子兵衛(ぬきうちししべえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,930 字 · 24 頁

青空文庫

――姫君も世に出る。

――我らも生涯お仕え申すことができる。

一同の歓びがどんなに大きかったかは云うまでもあるまい、彼等はいま甦ったような元気さで、親元になる稲葉家へと進んでいるのだ。

足取りは軽い。

陽はうらうら、丘の畑地に陽炎が燃え、桃の花が団々と紅い。……人々はいま水戸殿下を、新しい希望に面を輝かせつつ通り過ぎて行く、だが……どうしてそんな幸運がめぐってきたかという、その理由は知らずに……。

櫟林の蔭に、この行列の通り過ぎるのを、じっと見送っている武士があった。編笠を冠っているので顔は見えないが、……乗物が前にさしかかって、倫子姫の絵のような姿が見えたとき、

「……お姫さま、……」

と低く呟くのが聞えた。

木蔭に膝をついて、行列が見えなくなるまで目送していたが、やがて静かに立上ったとき、馬上の虎之助が近寄ってきて、

「左内、美しい姫だな」

と声をかけた。……はっと編笠を脱ったのは館ノ内左内であった。

「そのほうの言葉に偽りはなかった。ことによると余は、礼を云わなければならぬかも知れぬ。いや、ここであっさり礼を云うかな」

「もったいないお言葉、家来どもまでお取立てにあずかり、わたくしこそなんとお礼の申上げようもございません」