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たんていしょうせつのしょうたい
探偵小説の正体
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《探偵小説の正体(たんていしょうせつのしょうたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,807 字 · 8 頁
血圧を下げて安眠しようとしているのだ。書く方も、そんな気で書き、読む方もそんな気で読んでいるのだ。
そこから迸出る血が、黒ければ黒いほど気持がよくて、毒々しければ毒々しいほど愉快なのだ。だから探偵小説の読者は皆善人なのだ。……だから普通の小説が愛情の小説なら、探偵小説は良心の小説なのだ。良心の戦慄を書くのが探偵小説の使命なのだ……という説もある。
これも一応尤もな気がする。多分に共鳴も出来るようであるが、しかし、探偵小説の定義が、そうときまれば、ストーリーと謎々だけで成立している所謂、本格の探偵小説は飯が喰えないみたいなものになる筈である。
ところが本格の探偵小説は決して乾上りなんかする気色はない。新聞の三面記事が読める人なら必ず本格の探偵小説を理解し得ると考えてもいい位の大衆的な支持を受けつつ堂々と門を張って行きつつ在る。本格以外の探偵小説は探偵小説に非ず。エロ小説、グロ小説、ナンセンス小説と名乗って、この魅力ある「探偵」の二字を僭称する事を遠慮すべきもの也……とか何とか大見得を切られても、大きな声で返事する者が居ない位すばらしい勢である。だからこの定義は所謂、変格の探偵小説には当てはまるが、本格の謎々専門のソレには当てはまらないらしい。