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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁

青空文庫

前述の通り探偵小説のミステリー的部面の素材としてしばしば神秘学の種々の題目が利用せられるが、そういうオカルティズム作家として最も著しいものは、日本では小栗虫太郎、西洋ではディクソン・カーであろう。しかしこの両者には根本的な相違がある。虫太郎はオカルティズムにふけるあまり、ともすれば合理主義を逸脱して超論理におちいる場合が多かったが、カーはたんに神秘学を利用しているにすぎず、謎の解決はあくまで常人の論理、形式論理で行っている。推理小説としてはカーが勝り、天才的という意味では虫太郎の方がはるかに天才的であったといい得る。

虫太郎の作品が如何に神秘的素材に充ちていたかは読者の知るところであるから、ここにはカーの場合を二三例示してみる。

一九三四年作「劔の八」にはタロク・カードの劔の絵の第八のカードが殺された人物の身辺に落ちていて、それが全体の筋に異様な神秘性を与えている。カーはこの作でタロク・カードについてくわしい説明はしていないが、他の神秘学書によって簡単に解説すると、それにはエジプト・タロク、印度タロク、イタリー・タロク、マルセイユ・タロク、ジプシイ・タロクなどいろいろの種類があるが、カーが用いたのは最も普通に流布しているエジプト起源のエッテイラ・タロク内の小タロク・カードの一枚で、劔の第八には八本の劔